アメリカで事業を展開する日系企業にとって、DX推進やコスト削減、業務の柔軟性向上を実現するのがクラウド移行です。一方、「Microsoft Azure移行後にコストが想定の2倍になった」「移行が遅れて業務が停止した」「期待していたパフォーマンスが出ない」などの失敗事例も少なくありません。クラウド移行は技術作業だけではなく、実は戦略・組織・運用すべてに関わる複合プロジェクトです。本記事では、米国のクラウド移行で失敗する5つの理由と成功のポイントを解説します。
なぜクラウド移行は難しいのか|レガシーシステム・スキル不足・コンプライアンスの3大課題

クラウド移行は、既存システムをクラウド上へ移し替えるだけでなく、目的や対象システムによっては、業務プロセス、運用体制、データ管理の見直しを伴う「IT基盤の再構築プロジェクト」となります。そのため、多くの企業がクラウド移行の難しさに直面します。
企業によって状況は異なりますが、クラウド移行で多くの企業が直面する代表的な課題として、以下の3点が挙げられます。
・レガシーシステムの存在:長年運用してきた基幹システムは独自のカスタマイズが多く、そのままクラウドへ移行できないケース
・社内スキルやリソースの不足:オンプレミスとクラウドでは設計や運用の考え方が異なり、既存の体制だけでは十分なスキルやリソースを確保できない場合も
・セキュリティ・コンプライアンス:データの所在、アクセス権限、各種法規制への対応など、考慮すべき要素の増加
これらの課題の理解と十分な準備が、クラウド移行を成功させる第一歩です。
アメリカ進出の日系企業が陥りがちなクラウド移行の5つの失敗
以下で、アメリカ進出の日系企業が陥りがちなクラウド移行の5つの失敗を紹介します。クラウド移行で失敗したくない方必見の内容です。
① 明確なクラウド移行戦略の欠如|ビジネス目標とIT戦略の分離がコスト増加を招く
「競合が導入しているから」「DXの波に乗り遅れたくない」などの理由で、明確なクラウド移行戦略がないまま移行を進めてしまうケースは少なくありません。しかし、ゴールが明確でないプロジェクトはスケジュールの遅れやコスト増加を招く場合があります。
目的が欠如したクラウド化では、コスト削減なのか、スケーラビリティ確保なのか、グローバル展開支援なのか、優先順位をつけられません。その結果、ビジネス目標とIT戦略が分離し、投資対効果が低くなります。まずは経営層と現場でクラウド移行の理由の共有が重要です。
② クラウド移行のコスト見積もり不足|TCO・ランニングコストの見落としに注意
クラウド移行で多い失敗のひとつが、コスト面の見積もり不足です。「オンプレミスより安くなるはず」という期待だけで進めると、運用開始後に予算オーバーが発生する可能性も。
月々のランニングコスト、データ転送量、ストレージ階層の選定、バックアップ・冗長化費用などの見落としに注意が必要です。TCO(総所有コスト)の観点で、3~5年単位の試算を行うことが重要です。
③ データ移行・クレンジングの軽視
クラウド移行でトラブルになりやすいのが「データ移行・クレンジングの軽視」です。長年蓄積されたデータには重複・形式の不一致・不要データが混在し、事前のクレンジングを怠ると移行時に問題を引き起こす可能性があります。
④ セキュリティ・米国法規制への対応の不備
クラウド環境はオンプレミスと比べ、セキュリティ設計の考え方が異なります。クラウド事業者は基盤部分のセキュリティを担いますが、ID管理やアクセス権限、データ保護、各種設定については、利用企業にも責任があります。責任分界を理解しないまま運用すると、設定不備による情報漏洩リスクが高まる可能性があります。
アメリカでは企業の業種や規模、所在地、取り扱うデータによって、HIPAA(医療情報保護)、CCPA(個人情報保護)、SOX法(内部統制・財務報告)をはじめとする各種法規制への対応が必要になる場合があります。これらを後付けで実装するとコストも工数も膨らみます。設計段階からゼロトラストの考え方とコンプライアンス要件を組み込むことが重要です。
⑤ クラウド移行ベンダー選びの失敗|技術力だけでなく業務理解も確認を
クラウド移行の成否を左右するひとつが、ベンダー選びです。経験の浅いベンダーに任せ、要件定義でつまずき、後戻りが発生するケースも少なくありません。
特に「クラウドの構築実績はあるが、自社の業務理解が浅い」ベンダーに注意が必要です。技術的に構築できても、業務の流れに合っていなければ意味がありません。また、移行後のサポート体制も重要な選定基準。価格だけで判断せず、自社の業界・規模・文化を理解できるベンダーを選ぶことをおすすめします。
米国でクラウド移行を成功させるための3つのポイント|Azure・AWS・Google Cloud選定から運用まで
ここまでクラウド移行の失敗パターンを解説しましたが、正しいアプローチを知っていればクラウド移行は成功する可能性が高くなります。以下でクラウド移行を成功させる3つのポイントを紹介します。
1. 適切なクラウドプラットフォームの選定:Microsoft Azure、AWS、Google Cloudなどの選択肢から、既存環境や業務要件に適したプラットフォームや構成を検討します。Microsoft 365、Windows、Active Directoryなどを利用している企業では、既存環境との連携や運用管理のしやすさから、Azureが候補となる場合があります。
2. 実績あるパートナーの活用:自社のリソースだけで進めず、移行実績を持つ専門家と連携。
3. 長期運用を見据えた設計:移行をゴールにせず、運用・最適化フェーズまで含めた計画を作成。
クラウド移行成功のポイントは「失敗のパターンを知り、適切なベンダーと正しい順序で進める」ことです。
アメリカ市場・日系企業特有のクラウド移行課題|リージョン選定・多言語対応・日米システム連携
アメリカでクラウド移行を進める場合、米国市場・日系企業特有の課題に直面します。広大な国土に拠点が分散し、リージョン選定やネットワーク設計が複雑になります。また、グローバル展開を見据える場合、英語・日本語・スペイン語など多言語対応のシステム設計が求められます。
さらに、HIPAA、CCPA、SOX法など、業界・州ごとに異なる法規制への対応も必要です。既存システムとの統合でも、米国子会社と日本本社の日米システム連携をどう設計するかが大きな論点となります。特に、日本企業がアメリカに進出する場合、言語や業務プロセスの違いによってクラウド移行の難易度が高くなる場合があります。そのため、クラウドと日米双方の業務事情に精通したパートナーの活用が有効です。
JBS USAがアメリカでのクラウド移行を支援できること

JBS USAは、日系企業のアメリカ進出・現地運営を長年支援してきたITパートナーです。私たちには以下の強みがあります。
・Microsoft Azureの豊富な構築実績:長年にわたるMicrosoftパートナーとして培った知見を活かし、米国市場のお客様にAzureの導入・移行支援を提供。
・インフラ設計から運用までのワンストップ対応:要件定義、設計、移行、運用までを一気通貫で支援。
・日本語・英語によるバイリンガル対応:日本本社とアメリカ現地法人の橋渡しを、言語・文化の両面からサポート。
・日系・米系双方への支援実績:両国のビジネス慣習を理解したコンサルティングが可能。
まとめ|アメリカでクラウド移行を成功させるベンダー選びはJBS USAへ
アメリカでのクラウド移行は、目的に合う戦略作り、設計、ベンダー選びをすれば、日系企業に競争優位をもたらす可能性があります。クラウド移行を成功させるには、クラウド移行戦略やコスト試算の甘さ、データ移行の軽視、米国法規制への対応不備、パートナー選定のミスを避けることが重要です。JBS USAでは、米国日系企業向けのクラウド移行を支援しています。アメリカでのクラウド移行をご検討中の方は、年間の約600件のIT関連案件に対応するJBS USAにご相談ください。初回相談を無料で承り、お客様の環境や課題に適したクラウド移行をご提案します。

【筆者情報】
畑 匠海 Takumi Hata (Sales Division)
ITソリューション営業、サービス企画、アプリケーション開発・運用など幅広い経験を有する。自治体向けサービスの事業拡大や顧客支援を通じて、営業戦略の立案からプロジェクト推進までを担当。



